EMS使用による危険性、横紋筋融解症とは WB-EMSの禁忌を検証する

WB-EMS注意

この記事は、EMS機器を使用し過ぎることが何故禁止されているのかについてを調べた内容となっている。

 

日本でも最近少しづつ認知されつつあるWB-EMS(全身用のEMS機器を使った体の複数の筋肉に対するトレーニング)に関する研究論文がイギリスのBMJ Open Sport Exerc Medから2019年に発表された。

 

この研究は過去に発表されたWB-EMSに関する論文を紐解き、その使用にあたっての危険性や、禁忌事項としてどのようなものがあるのかをまとめたもの。

 

ウィーンメディカルウィークリー誌掲載の論文の引用はこちらのリンク

"Side effects of and contraindications for whole-body electro-myo-stimulation: a viewpoint" PUBMEDサイト

 

この論文に書かれている内容を詳しく説明していき、今後、日本でのWB-EMS利用が進む上で世界での認識を基に、より安全に活用できるガイドを目的にしたのがこの記事。

 

WB-EMSで最も危険とされている症状が横紋筋融解症の発症。

 

横紋筋融解症とは筋肉の損傷により壊死した筋肉細胞が血中に流れ出し、他の臓器に重篤な影響を及ぼす症状。

初期症状の一つとして赤褐色の尿など体の異変が生じる。

 

横紋筋融解症の危険性についてはマッサージガンの使用に関しても症例が存在する。中国でのマッサージガン利用での横紋筋融解症の事例紹介などこちらのリンクの記事をチェックしていただきたい。

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WB-EMSとは 効果の前に考えるべきこと

腹筋

最初に簡単にWB-EMSとはどういうものかについて触れておこう。

 

WB-EMSとはWhole Body Electric Myo Stimulationを略したもの。(Myoとは筋肉のこと)

 

通常の身体に対する負荷を与えることで運動を行うものとは異なり、電気信号で筋肉に直接働きかけることで運動を行なったのと同様の効果が得られるものがWB-EMS。

 

身体的に補助を要する人たちにとっては、通常の運動を行うことが困難であり、WB-EMSを利用することは運動の代替手段として有効だ。

 

しかし、WB-EMSの利用に関する安全性の面では一般的利用がなされ始めて日が浅く、禁忌や、利用に関する制限や注意事項などの研究が不足している。

 

また、WB-EMSを使うことによる筋力や筋肉量の増加が従来のトレーニングよりも効果的であるかは、まだ検証不足な状況にあり今後の課題となっている。

 

欧州を中心に様々なメーカーからWB-EMS製品が開発され既に市場に登場しているが、その利用による副作用、禁忌はあまり語られていない。

 

一般的にEMSは電気信号を体内に発するため、ペースメーカを体内に埋め込んでいる人に対して使うことは禁忌とされている。

 

WB-EMSはスーツ型が一般的

腹筋

WB-EMSは一般的には以下で紹介するような専用のスーツを着用してトレーニングなどを行うもの。

 

スーツの内部(裏側)には電極が組み込まれており、電気で刺激を与える仕組みになっている。

 

スーツのあちこちに電極が組み込まれているので、一度に体の多くの部分に刺激を与えることができる。

 

効果的なWB-EMSの利用としてはスーツを着用しながら他のエクササイズを行うもの。

 

実際に以下の動画をチェックしてみればイメージは理解できるはず。

 

EASY MOTION SKIN社のWB-EMSスーツ。動画を観て頂ければすぐにどんなものか理解できる。

EASYMOTIONSKIN公式HP(日本語ページ)

 

MIHA BODYTEC社の「i-body」がこちら。

MIHABODYTEC社の公式HP(日本語ページ)

 

そして最後に日本のシックスパッドの「Powersuit」を含む動画がこちら。

SIXPAD Powersuit公式HP

 

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WB-EMS利用に関する世界の規制とは 

ドイツ保健省

WB-EMSに関する規制とガイドラインは、ドイツとイスラエルの2か国で存在する。

 

ドイツのガイドラインでは、最初のWB-EMSトレーニングの前に、禁忌の可能性のある病歴などをチェックする必要があることを推奨している。

そして、WB-EMSトレーニングは資格のある訓練を受けたコーチに従って行なう必要がある。

他にもトレーニングの前後に水分補給が必要、効率的な利用方法などの指導が必要とされている。

 

イスラエルでは、保健省が以下の様な規制を行っている。

すべてのWB-EMS機器は、医療用の機器または体力トレーニング用の機器として登録する必要がある。

トレーニングを指導する者は、少なくとも30時間のトレーニングを受けた資格者であることなど。

FAU

FAU公式サイト

 

ドイツのフリードリヒ・アレクサンダー大学らの論文からWB-EMSの危険性についての引用を紹介しておこう。

Thus, in summary (a) too intense initial WB-EMS may indeed result in a severe rhabdomyolysis (b) thus, initial WB-EMS application to exhaustion must be strictly avoided, and (c) frequent WB-EMS application demonstrated a very pronounced repeated bout effect after a short conditioning phase.

要約すると、「(a)WB-EMSを初期からかなりの強度で利用すると重度の横紋筋融解症を引き起こす可能性がある。(b)疲労時におけるWB-EMS利用は厳格に避ける必要がある。(c)頻繁にWB-EMSを利用することはこれらのことが顕著に起こりうる。」として危険性を唱えている。

 

しっかりとした利用に関する指導がなされない環境下で、体調不良者などがWB-EMSを利用する場合は特に注意をしなければならないとの内容だ。

 

参考情報として、日本での医療機器などの「医療機器等開発ガイドライン」公式HPというものがある。

 

こちらのリンクの記事ではドイツのWB-EMS利用がいかに進んでいるのかが、うなづける内容となっているのでチェックしていただきたい。

まとめ WB-EMSは使用上の注意を必ず守ることが重要

注意事項

ドイツのように有資格者の指導のもとで使用する必要があるなど、WB-EMSに関する日本国内での制限事項は特にない。

 

現状は製品に付属するメーカーが作成した使用上の注意事項を遵守することが欠かせない。

 

たとえ理由が理解できなくても従うべきなのだ。

 

この記事でここまで書いてきたように、EMSにとっての最も代表的な副作用にあたるものの一つが横紋筋融解症だ。

 

メーカーの使用上の注意の一例をあげると、日本では知らない人はいないシックスパッド、1度の使用時間は1回23分。1日1回の利用に限る。

 

これは、たとえ説明書などにEMSの過度の使用が横紋筋融解症の恐れがありますと記載がなくとも注意しておくべきことでもある。

制限

個人が撮影したネット動画などの情報では一日に何度もEMSを利用するなどの使用を実証している内容もあるが、安易に真似をしてはいけない。

 

横紋筋融解症に関する症例とWB-EMSの関連性の調査はスポーツ科学の領域で先行するドイツでさえもまだ始まったばかり。

 

正しく節度のあるWB-EMS利用が求められる。

 

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