ギターサウンドをイコライザーでコントロールする 倍音(ハーモニクス)とは
今回は、音楽のリスニングの中でとりわけギターの音色が好みのあなたに向けた記事だ。
ここで扱うギターはアコースティックギター、エレキギターの2種類だ。
イコライザー設定でギターサウンドを好みの音色にチューニングするためのやり方を紹介しよう。(DTMなどレコーディングの方ではない)
特定の周波数をピンポイント(決め打ち)でブーストするようなやり方だ。
結論は最後に用意している。理由は途中の内容を理解せずには扱えないからだ。
理屈がどうとかはさておき、誰もが簡単に理解できるのがこのブログでのコンセプトとしていた。。
今回の記事はその方針とは異なる。少しだけ小難しい領域に入ってみよう。
ギターのサウンドの周波数はどこに分布しているのか
いきなりややこしいことを言って恐縮だが、ギターを奏でて出てくる音は82Hzから1397Hzとなる。
つまり最も簡単なギター音のコントロール方法、つまりギターの音を強調する方法はイコライザーでこの周波数のレベル上げればいいことになる。
例えばJetaudioアプリの場合であれば下の赤い「}」の部分
60、100、160、240、350、500、700、1K、1.4K・・・の各スライダーレベルを上げればギターサウンドが際立った感じになるわけだ。
(実際の楽曲ではそこまで単純ではないので後述する)
しかし、それだけでこの記事を終えるわけにはいかないのでさらに深堀りをしていこう。
Jetaudioについてはこの記事をチェック
ギターサウンドにはどんな種類があるのか
この章のタイトルの意味するところは、ギターの種類のことではない。
ギターという楽器の中には最も高い音から最も低い音までが存在するのは想像がつくだろう。
一般的なギターは6つの弦で構成されている。
最も細い6弦が最も高い音を出し、最も太い1弦が最も低い音を出す。押さえるフレットの位置によっても細かに音が変化する。
そういった楽器の音程の選び方、弾き方に関係する音以外の話を進める。
どういうこと?
ここからさらに難しい話にも触れておこう。
倍音とは ハーモニクスについて
ギターの音には楽器の持つ元々の基本(ファンダメンタルズ)の音以外にも倍音(ハーモニクス)と呼ばれる音が存在する。
これは何もギターにだけ限った話ではなくて、様々な楽器に共通する話だ。
今回はギターの音に絞って説明しよう。
ギターの基本の音色が82Hzから1397Hzまでとなっているが、実際にはさらに広域の5300Hzまでの倍音を含むものとなる。
例えば440HzのA(1弦5フレット)のラの音をギターで鳴らした場合には、倍音(整数倍)として880Hz、1760Hz・・・と重なり合って音が鳴っている。
たった一音でも、これらが一体となった音なのだ。
もちろん倍音の音圧のレベルは同一ではないので、高域に向かうに従い小さな音になる。
ここで何が言いたいのか。
倍音(ハーモニクス)の周波数域をイコライザーでカットしてしまうと、意図したはずのギターの音を損ねてしまう可能性があるということなのだ。
ギターの音の構成をわかりやすく説明
もう少しわかりやすく説明しよう。
ギターの最も低い音はベースギターに近い音をイメージすればわかりやすい。
低く鳴り響く、無理やり文字で言うと「ハ行、サ行」の音。
ブーン、バーン、ジャーン、ズーンなど。
低音は音の量感を表現している
最も高い音は金属的な細く鋭い音に近づく。
こちらも無理やり文字で表すと「カ行」の音。「キーン」という音が変化したようなバリエーションの音。
高音は音の輪郭を表現している
ギター音の82Hz~1397Hz~5300Hzの低域側をカットすると量感が減り細い印象になる。
逆に高域側をカットすると音の輪郭が無くなる。弦のタッチ感や、アタック音が無いあっさりした印象になる。
イコライザーで音を調整する際には、ギターの音のどの部分を強調したいのか、控えめにしたいのかを考えながら行う。
ギターだけの曲なら単純だが… 邪魔な音は消したい
あなたが普段聴いている曲はどんなタイプだろうか。
バンド形式だと、ギター以外にもピアノやボーカル、ドラムなどの音が重なり合っているはずだ。
ギターの音と同じ周波数には別の楽器の音も重なり合っているのが普通だ。
バンドで用いる楽器であれば、ギターもボーカルもピアノもドラムも周波数が重なっている場合が多い。
楽器の音が重なっている部分の周波数をブーストすると全ての音が強調されるわけだ。
たとえば440Hzの周波数にギター、ボーカル、ピアノの音があった場合に、イコライザーで440Hzをブーストすると全て一緒に変化するのだ。
これは録音済みの音源でイコライザーを使うとどうしようもないのだ。
どの曲も一律には調整できないので、楽曲ごとのチューニングなどでイコライザーを調整するしかない。
または、重ならない倍音の周波数をピンポイントでブーストするなどで対応しよう。
録音済みの楽曲では原音は鳴らせない
どんなに工夫しても録音済みの楽曲から原音を鳴らすことはできないのだ。
曲を録音する場合にも、音をイコライザーでチューニングして再生する場合と同じようにチューニングされているのだ。
編集する際には、各パートの楽器の音の組み合わせで意図した雰囲気が出ない場合には邪魔な音をカットする。
ボーカルをきれいに表現したいのに、裏で別のパートが邪魔をする場合にはその楽器の重なる音をカットしたりするわけだ。
CDなどのミックス済の音源には不要な音が既に無くなった状態なのだ。
そういった音をイコライザーで再生時に出そうとしてもそれは無理な話だ。消されたものは増やせないのだから。
まとめ 手順はこれだ
今回のイコライザーチューニングの方法は楽曲によって内容は異なるものなので一律にこうしようという話ではない。
手順としては以下の様な流れになることをまとめておこう。
①ギターの音をコントロールしたい場合に、ギターの周波数がイコライザーのどのあたりに該当するかを確認。
Jetaudioアプリの場合は「100、160、240、350、500、700、1K、1.4K」のスライダー。
②楽曲の中でギターの音がどのような作りになっているのか把握する。
迫力のあるエレキギターのサウンドなのか、アコースティックギターの繊細なストロークなのかなどでどんな雰囲気にチューニングするのかをイメージする。
③低音側、高音側、特定の音(倍音含め)のチューニングをイメージして該当する周波数をブースト(またはカット)する。
ここまで細かなイコライザーセッティングではどの曲にも共通に使えるものは作れない。
特定の一曲を自分の最高のイコライザー設定で聴きたい。
そういうこだわりがあるならぜひチャレンジしてみよう。
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