ブーツメモリアル パールハーバーフォードアイランドで見た無数の片足だけのブーツ
ブーツメモリアルBOOT MEMORIALって言葉を知ってるかな?
ブーツメモリアルという言葉を聞いたことのある日本人はほとんどいないんじゃないのかな。
簡単に言うと、たくさんのブーツを並べて作られた記念碑のことなんだ。
ブーツメモリアルに遭遇したのは昨年の夏の終わり2019年9月13日。
無数のブーツが整然と地面に並べられた光景には目を奪われるものがあった。
だだっ広い地面一面に何列もの列をなして並べられたブーツがある。
遠くから見ると、風に揺れてざわめく何千もの輝きに惹きつけられるものがある。
導かれるように近づいていくと、ブーツには小さなアメリカの国旗が一つ一つ差し込まれていた。
すぐ近くまで来たとき、一瞬しまったという気持ちを感じた。
興味本位で来るべきところではないかも知れない。そんな気持ちがよぎった。
ブーツには、その持ち主の生前の写真が一つ一つに結び付けられていた。
ブーツは主に、かつてアメリカ軍に所属中に命を失った人達が身につけていたもの。
イラクを中心とする中東での戦闘や、不慮の事故などにより戦死したたくさんの軍人たちが生前着用していたブーツ。
フォードアイランドの空の下に輝く光の波
ハワイオアフ島パールハーバーにあるフォードアイランドには、アビエーションメモリアルという航空機に関する博物館がある。
その施設は、フォードアイランド飛行場の今は使われていない滑走路の脇にある巨大なもの。
施設自体は第二次世界大戦中、戦闘機などの格納庫(下画像赤枠内)として利用されていたもの。
巨大な格納庫内は、今は戦闘機の歴史を物語る作りになっている。
爆撃機や、ゼロ戦、F14、F15、F16あたりの最近の戦闘機までがところ狭しと詰め込まれている。
フォードアイランドは第二次世界大戦の日本軍による真珠湾攻撃で犠牲となった場所。
アメリカ軍の太平洋地域の最大の拠点として機能していたパールハーバー。
入り組んだ湾の地形の奥に基地の中枢の役割を果たす施設や艦船、航空機などが集められていた。
現代の今に至っても、軍としてその役割は機能している。
フォードアイランドは、パールハーバーの最も奥、陸に近いところに浮かぶ島。
陸からは橋が掛かり、島への通行は車両のみ。
一般の人間はパールハーバー、ビジターセンターでアビエーションミュージアムへのチケットを購入して行くことになる。
2つ目の格納庫内の展示を見学した後、扉の外には広大な滑走路が広がる。
赤と白のストライプの一本の管制塔がそびえ立つのがやけに目立つ。
今は使われていない滑走路と、無人の管制塔が広がり、ひと目で見渡せないほどのパノラマ状の景色。
あまりにも広すぎるから、「思わず走り出す」ことすら思いつかない。
その底がないくらい深い視界の、かなり手前の地面に無数のきらめきがあることに気が付いた。
それでも、かなり遠い場所なので何がキラキラ輝いているのか想像もつかない。
あたり一面の地面にある何かが風で揺れている。
あたかも、こちらに向かって手を振っているような錯覚を覚えた。
近付いてみよう。
ブーツメモリアルの始まり
ブーツメモリアルはテレサ・ジョンソンさんが始めたイベント。
Bootsmemorial公式HP https://www.bootmemorial.org/
2012年9月11日から始まったこのイベントは9.11以降に命を失った、主に軍人の人達のブーツを並べて、その名誉の死を忘れないように讃えようとするもの。
イベントは多くのランナーがランニングに参加するというもの。
そしてランニングコースの沿道にはたくさんのブーツが並べられる。
そして、ランのイベント後、それらのブーツがフォードアイランドの滑走路に並べられる。
そして圧巻の光景が広がる。
目の前で見るブーツ一つ一つには、アメリカの国旗、そしてブーツの持ち主の写真が結び付けられている。
何の予備知識もなく、目の前にブーツを見た瞬間、複雑な気持ちに襲われた。
もしかして、これはお墓みたいなもの?珍しいもの見たさで来た自分が恥ずかしく思えた。
パールハーバーは日本人にとって、心理的に大手を振って歩きにくい場所。
ましてアメリカ軍の人達のお墓のような場所。
心の中でご冥福を祈り、立ち去ることにした。
今ならわかる
風に揺れる無数の国旗一つ一つが、今も生きる家族に届く光を放つ
たくさんの小さな光は、残された家族を照らし続けているよ
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