ペースメーカは心臓の代わり? 実はあなたのよく知らないペースメーカとは
この記事はペースメーカーが心臓の代わりになるものなのかどうかを正しく理解してもらうためのもの。
あなたはペースメーカのことをよく知っていますか?心臓の代わりになるものなんて思ってる?
今ペースメーカが必要のない健康なあなただからこそ知っておきたいペースメーカのこと、実は勘違いしていたペースメーカのことを中心にこの記事に書きましたので読んでみてください。
あなたはこれまでペースメーカを利用している人と出会ったことがありますか?
ペースメーカを利用している人がどこにいるのかご存知ですか?
健常者が何故、どうやって、ペースメーカの利用者に対して配慮する必要があるのか知っておくべきことがこの記事を読んで知っておいてくださいね。
正しい知識を得て、みんなが揃って快適に過ごせる社会にしていくために未知なる存在のペースメーカを考えてみましょう。
普段の日常生活でよく耳にするペースメーカという言葉。この記事を書くまでは『ペースメーカー』と語尾を伸ばしていたが、政府の省庁のサイトでは『ペースメーカ』としているのでこちらに統一した。
ちなみに『ペースメーカー』はマラソンでも用いられる言葉。区別するにはいいかもね。
毎日耳にするペースメーカという言葉とは
電車など公共交通機関を利用時にアナウンス、張り紙などで毎日のように触れる機会がある「ペースメーカ」。その割にはペースメーカの存在は空気のように感じてしまいがち。
その理由の一つはペースメーカを利用されている人に出会ったことがないのが正直なところかもね。
あなたの知り合いにペースメーカを使っている人はいますか?
『ペースメーカの話』一般社団法人日本不整脈デバイス工業会HP https://www.jadia.or.jp/SPsite/pacemaker/
実感もないまま普段の生活をしていても注意はしにくいので実態を少しチェックしてみよう。
ペースメーカの利用者とは
2020年の日本国内のペースメーカ年間の新規装着数は約4.3万人。
利用者全体数は40万人以上にのぼる。
ざっくり10万人あたり約3人くらいの割合。この数字もピンとこないところだよね。多いの少ないの?
ペースメーカ利用者の年齢層は65歳以上が9割を占める。
電車などで、見た感じ席を譲ったほうがいいのかなと思うような人たちからさらに上の年代の人たち。
もちろん、ペースメーカ利用者は年配の方やお年寄りだけに限った話ではないので、間違った偏見は持たないようにしないといけない。
子供だって、現役世代の人だってペースメーカー利用者は存在する。
ペースメーカはどこに埋め込まれているの? 心臓じゃないの?
ペースメーカはどこに埋め込まれているのかを知ってる?
ペースメーカの役割は心臓の心拍を電気の信号でサポートすること。
当然心臓の近くに装着しなければならない。心臓にくっついている?なんて人も中にはいるかもしれない。
だから心臓の真上?真横あたり?ってイメージを持つ人が多いのは当然なんだけど、実は少し違う。
正解は、左胸または右胸の少し上あたりにペースメーカは装着される。
成長期にある若年の人たちは腹部に装着されるケースもある。
ペースメーカからスマートフォンなどの機器を遠ざけるイメージとしては、ペースメーカ利用者の心臓からさえ離れていればいいのかと思っている人が大半のはず。
もちろん概ね外れてはいないが、ペースメーカを装着される位置は胸だったりお腹だったりするので大きく上半身と捉えるのがベターなんだ。
ペースメーカってどんな機械?
ペースメーカは心臓の代わりになるもので、機械が血液を流すポンプの機能がある??
そんなイメージをお持ちの人も稀にいるかもしれないが、そういう未来のデバイスではないんだ。
人間の体は自分自身で自発的に電気信号を起こし、心臓の筋肉を動かす仕組みになっている。その電気信号をうまく発生できなくなる症状に陥った場合にペースメーカが必要になる。
ペースメーカは電気の信号を発生させるための機械。モーターやポンプみたいなものとは全然違うし、まして心臓と取り替えたりするものではないんだ。
少し詳しい話をすると下の画像の最下部に心拍のグラフがある。ちょうどグラフの左から右に進むように洞房結節(SAN)から電気信号が発生して心拍が始まる。
洞房結節から房室結節と順に信号が伝わり心臓の筋肉が収縮したりするようになっている。
この洞房結節からの電気信号の発生の頻度が低くなってしまったり行われないことになると血液の循環が上手くいかないことになる。
この洞房結節の電気信号発生を肩代わりするのがペースメーカの役割。
症状によっては洞房結節以外の部分がうまく機能しないケースもあり、それぞれの症状に応じたペースメーカも用意されている。
ペースメーカってこんな機械なんだ
BIOTRONIK社製 https://www.biotronik.jp/
ペースメーカは上の写真のような小さな電子機器。
大きさ:48mm X 40mm X 6.5mm
重さ:20.8g
もちろんバイブでブーンという音などで震えたりはしない。
ペースメーカの機器構成は、ペースメーカ本体とリード線でできている。
MEDTRONIK社製(上画像)
ペースメーカ本体は胸やお腹に装着され、本体から伸びるリード線が心臓に繋げられる。
胸にペースメーカを装着する場合は、リード線は鎖骨の下あたりの静脈の中を通して心臓内部の洞結節というところまで伸びる。
ペースメーカは内蔵の電池で動作しているので定期的に交換しないといけない。
ペースメーカについて解説している動画がこちら。チェックしてみよう。
ペースメーカの手術って大変?
心臓に関する治療や手術って言葉を聞いただけで何だか大変そうでかなり危険なイメージを持ってしまうよね。
胸をメスで開いて心臓の動きが見えるような手術シーンを思い浮かべてしまう人もいるかも。
実はペースメーカの手術は2時間ほどで終わる。麻酔も部分麻酔で済み、意識がある状態で行われる。
胸を4〜6cm程度メスで開いてポケット状の隙間にペースメーカを装着する。
ペースメーカから繋がるリード線は針で静脈の血管内を突き抜け心臓内部の洞結節まで届けられる。
ペースメーカの電池はどうやって交換するの?
ペースメーカは電池で作動するので電池が切れる前に交換しなければいけない。
実際は電池を交換するというよりペースメーカそのものを新しいものに交換する。
ペースメーカにとって何がいけないこと?
電車のシルバーシートなどでのスマートフォンの利用に対して頻繁に注意が呼びかけられている。
一体ペースメーカにとって何がいけないことなのか、チェックしてみよう。
簡単にいうと電磁波、磁力、電気などが発生するものがペースメーカ内部の電子回路や、リード線に影響を及ぼすことを避けなくてはいけない。
ペースメーカの役割は利用者のその時々の状況に応じた脈拍=心拍を作り出す必要がある。
リラックスしている安静時は脈拍数は60回/分程度に低く抑え、駆け足する程度なら100回/分程度以上にしないといけない。
駆け足をする時、体を動かすのに必要なエネルギーと酸素を早く必要な場所、筋肉などに届けないといけない。
その役割は血管内を流れる血液にある。
状況に応じた心拍数はペースメーカから電気信号を必要なタイミングに発生させることで得られる。
その電気信号が発生するタイミングに異常が起こり正常な心拍が得られない場合どうなるか、失神など起こしその場で倒れ込んでしまうことになる。
ペースメーカ利用者はシックスパッドなどEMSは使えない
ペースメーカ利用者は体に電気が流れるような場面は絶対に避けないといけない。
電気風呂はもちろんだけど、シックスパッドなどのEMS機器は使えない。
足の健康用のシックスパッドフットフィットもペースメーカ利用者は使えないので、間違っても使用しないように気をつけてあげてね。
ペースメーカや心臓疾患などの持病がない人はしっかり使えるフットフィットについてはこちらの記事をチェックしてみよう。
携帯電話でペースメーカにどんな影響が出るのか
総務省の「電波の植込み型医療機器及び在宅医療機器等への影響に関する調査等」報告書(https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000476268.pdf)にはスマートフォンがペースメーカーに及ぼす影響について調査した結果が書かれている。
W-CDMA方式の800MHz帯、900MHz帯、1.7GHz帯、2GHz帯の調査を実施。
スマートフォンがペースメーカの利用者に及ぼす影響を以下の0~5の段階で評価した。
0 影響なし
1 動悸、めまい等の原因にはなりうるが、瞬間的な影響で済むもの
2 持続的な動悸、めまい等の原因になりうるが、その場から離れる等、患者自身の行動で原状を回復できるもの
3 そのまま放置すると患者の病状を悪化させる可能性があるもの
4 直ちに患者の病状を悪化させる可能性があるもの
5 直接患者の生命に危機をもたらす可能性があるもの
調査の結果はこちらの通り。
なお、電波発射源に半波長ダイポールアンテナを用いて携帯電話端末の模擬システムによるスクリーニング測定において、800MHz 帯では 1cm の距離でレベル 2 の影響が確認された。
平成 25 年 1 月の指針改正において、離隔距離を「15cm 程度以上」に変更する等の改正が行われている。
国際規格との整合性を考慮して、離隔距離を 15cm 程度以上としたわけなんだ。
まとめ ペースメーカを装着している人を守るためにどうしよう
ペースメーカを装着している人を守るためにどうしようか。
スマートフォンを利用する場合はもちろん正しく所定の場所で利用する。
万が一混雑した満員電車に乗ってしまうことになった時、あなたのスマートフォンが目の前の人の胸やお腹から離れた位置になるようにしよう。
調査の結果はそれほどシビアに考えなくても良さそうだけど、スマートフォンなどの機器は日々進化し新しい規格も登場している。
あなたや、わたしの不注意で誰かが苦しむようなことにはならないようにしたいよね。
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