イヤホン・ヘッドホン難聴とは 難聴予防と難聴との付き合い方
『イヤホン難聴』、『ヘッドホン難聴』とはイヤホンや、ヘッドホンを過度な使用をすることで起きる難聴のこと。
この記事では、音楽好きのあなたの耳を、いかに難聴から遠ざけるのかのポイントを説明する内容。
あなたもご想像の通り、音楽などを大音量、さらに長時間でイヤホン・ヘッドホンを聴くことにより患うものがイヤホン難聴、またはヘッドホン難聴。
耳の病気としては難聴の他に代表的なものでは耳鳴りなどがある。(正確には耳鳴りは病気ではない)
WHOでは2050年までに世界の約25億人が難聴の恐れがあると警告を発している。
割合で言うと全人類のうち約10人に1人が難聴になる計算だ。
難聴にならないためにはどうすればよいかを一言で言うと。
『静かな環境で暮らす』
しかし、そんなことは誰にでもできるものではない。
さらには環境だけの話では済まず、行動自体も重要な要素となるのだ。
あなたが気にするべき難聴とは
難聴には大きく次の三種類がある。
- 加齢に伴う聴力低下による難聴
- 突発的な外的要因による難聴
- 長期間、騒音に晒されることによる難聴
一つ目の『加齢による難聴』は加齢と共に徐々に症状が進行していくもの。
誰にでもあてはまる話だ。
お年寄りが音が聞こえないことにより、何度も話を聞き直すことや、自分の声が聞こえないことにより、話す声が大きくなるなどの症状となる。
これは長生きすれば、誰にでも起こるものなので、残念ながら避けることはできない。誰しもいずれは歳はとってしまうからだ。やれることは、せいぜい進行を遅らせる程度のもの。
したがって、加齢による聴力低下での日常生活の不便さを解消するには、聴力を補助する道具として補聴器などで改善、維持するのが一般的に知られている対処方法だ。
最近では、テレビから離れた手元でテレビの声をより良く聞くためのスピーカーなどもあり、社会生活や、家庭での生活の質の向上にも貢献している製品がちらほら見かける。
二つ目の『突発的な外的要因』による難聴は、年齢に関係なく発症する可能性のあるものだ。今回の記事では主にこちらを取り扱うこととなる。
突発性の難聴は、子供も大人と同様になりうるわけだ。
突発性難聴を予防するためには、大音量の音を短時間または長時間、直接耳に晒す状態に置かれることを避ける必要がある。
三つ目の『長期間、騒音に晒されることによる難聴』は、次のような場面や、仕事が原因で難聴になる危険性が高い。
- 大音量の音楽が流れる場所
- 往来の激しい幹線道路からの騒音
- 騒音の激しい工場での長期間の業務
- 大型の重機などが直ぐ側にある現場
- プロのミュージシャン
なったらすぐに治療 放っておいても治らない突発性難聴
この章のタイトルにある通り、放っておいてはいけないのが突発性の難聴。
突発性難聴は、突然発症し、自身で原因もわかっている場合が多い、だから暫くしたら治るかも…
これは最も危険だ。
ここからは私自身が実際に体験したことを紹介しよう。
当時、高校生だった私は携帯用の音楽再生としてSONYのウォークマンを愛用していた。
普段は通学時にだけ音楽を楽しんでいた。
その日は学園祭があり、学校の中でも、自由にウォークマンを使っても良い日だった。
そういう事情もあり、片耳にイヤホンを挿したまま一日を過ごした。
そう、大音量の音楽を再生したままで。。
するとどうなるのか。一日が終わりイヤホンを外すと、「ごー」とか、「ぼわ〜」に近い音が片側の耳、左耳だけで聞える状態となった。
初期症状は耳鳴り こんなのだ
「ごー」、「ぼわ〜」という音で周りの音がかき消されてしまう。これまで経験のある「きーん」系の耳鳴り音ではない。
空調などの機械の動作音のような連続音が常に耳元で鳴っているので人の話が聞き取れない。
そして喩えるなら、耳の中に水が入ってしまったような不快感。さらに自分の声が聞こえないので会話もしづらい。
どこにいようが、現場の重機が動くような騒音や、空調の動作音のような耳鳴り音が、ずっと自分に付き纏うわけだ。
それが邪魔することで、聞きたい音が全然聞こえない。
単純に一晩寝れば治るかと安直に思ったが、そんなことはない。
ここで間違いをおかしたのが、「すぐに診察してもらわないこと」。
半月ほどそのまま放っていたのだ。あともう少し経てば治るかという馬鹿な発想。筋肉痛とは訳が違う。
長引く耳鳴りとの付き合い方の記事はこちら
ヘッドホン難聴、イヤホン難聴 回復させるには
前章からの続き。
私の場合、耳鳴りはかなり時間は掛かるが、やがて小さくなり、解消された。
後遺症というか、引き続きというのか、発症以降数十年の間、大きな音がきちんと聞き取りにくいという症状に悩まされることになった。
今も治ったと思っているが、実は治っていないかも知れない。
どういことか。
今もずっと難聴になるような環境から、自らを遠ざけて生活しているのだ。
大きな音を聞く環境を作らない。大きな音のする場に自ら行かないということを徹底する。騒音に囲まれた環境とは離れた生活を送るということに注力したのだ。
これが、実は、難聴にならない習慣、難聴を回復させる習慣でもある。
難聴になる原因の一つに耳の奥にある有毛細胞が壊れることという説明がある。
以下は難聴から回復するための説明の引用。
有毛細胞が壊れる前であれば、耳の安静を図ることで回復します。そのため、初期には耳栓を使う、定期的に耳を休ませるといった指導が行われます。
大音響などを聞いたあとに急に耳の聞こえが悪くなったときは、突発性難聴の場合と同様に、内服や点滴のステロイド剤による薬物療法が中心になります。血管拡張薬(プロスタグランジンE1製剤)やビタミンB12製剤、代謝促進薬(ATP製剤)などを使うこともあります。
栄養と休息が突発性難聴の回復に必要なものだ。
ステロイド剤などを、ためらわずに早期に服薬するのが大切だ。(お医者さんと相談の上)
私はよくわからずに避けてしまった。
そして、静かな環境で暫くは過ごすこと。これがなかなか難しい話で、ずっと家で静かに生活できる人なら別だが、一般人であれば毎日出かけなければならない。
車の騒音、電車の騒音、人混みの騒音などあげれば切りがない。
治療と安静
この治療と安静を発症からすぐにやらないと、私のように長期に渡って不快な生活を過ごさないといけなくなる。
耳鼻科での早期の治療が必要だ。
さらに突発性難聴になった直後は、耳が音に過度に敏感になっている。
何の音も耳には聞こえない環境に置き、そして体力を温存するようにしよう。自身の治癒力をアップさせるためにも。ただし、そうしたからと言って必ずしも回復するとは限らない。
回復に寄与しそうなものは全てやっておくこと。それですぐに治ればラッキーだ。
難聴がなかなか治らないと自分の後悔リストにたくさんの項目が並ぶことになる。あの時こうしておけば良かったと。
難聴の特効薬ビスフォスフォネートに期待したい
感音性難聴に対しての治療薬の開発が進んでいる。2020年に発表された論文がある。
「Regeneration of Cochlear Synapses by Systemic Administration of a Bisphosphonate」
(ビスフォスフォネートの投与による蝸牛シナプスの再生)
ビスフォスフォネートという骨の疾患に使われる薬を難聴治療に用いると効果を発するとの研究が進んでいる。
臨床試験を経てからの実用になるので、まだ実用化は先のようだ。
さらに、このビスフォスフォネートの研究は2022年の、JAXAによる国際宇宙ステーション(ISS)で優れた成果をあげた研究やイノベーションに対する表彰を受賞した。
「Bisphosphonates」が2022年のISS Research Awardsを受賞」JAXAリンク
具体的な内容は「宇宙での人間の健康 :宇宙飛行士の骨量減少と尿路結石のリスクを軽減するための運動とビスフォスフォネートを組み合わせることの有効性実証」となっている。
これらの成果が加速して、難聴に対する適用も加速することを期待したい。
骨伝導イヤホンも耳の負担を軽減
イヤホン、ヘッドホン難聴を予防する3つのポイント
イヤホン、ヘッドホンを使う人が難聴にならないための注意点がこちらだ
- 最大 60% の音量で音楽を聴き、決して 60 分を超えてはならない
- 70 デシベル未満を保てる環境で生活する
ちなみに会話は約 60 デシベル、車のエンジン音は約 90 デシベル。
以下の3つの対策を日頃からしよう
イヤホン難聴、ヘッドホン難聴を避けるためのポイントだ。
- 音量を可能な限り下げる
- ノイズキャンセリングイヤホンを使う
- イヤホンよりもヘッドホンを使う
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音量を下げよう
まずはイヤホンで聴く音量(ボリューム)を下げよう。外に漏れるような音量は論外だ。
周りの騒音などの環境音を、音楽のボリュームアップでかき消さないと気が済まない人もいる。過去私もそうだった。
電車に乗れば、電車の走行音を打ち消すようにしたり、会話、騒音に負けないようにと大音量にしてしまう。
最近は少なくなったが、周りから音楽の曲が聞き取れるほどの大音量で音がダダ漏れの人もいるが、これは耳にとっては最もやってはいけない行動。
難聴から耳を守るためには、音楽を聴くボリュームはしっかりと下げよう。
最大音量の60%とあるが、これは結構大きな音だ。また、機器によってはボリュームのカウントはまちまちだ。録音されたレベルにもよる。
個人的には30%を目安に音量設定を心がけている。
これは、場合によっては、騒音など周りの環境音に負ける程度の音量だ。
ノイズキャンセリングイヤホンを使用する
ノイズキャンセリングイヤホンやヘッドホンは騒音を軽減するためにとても約立つ。
予防のために、普段から静かな環境を作り出すためにもノイズキャンセリング機能を利用するのはおすすめ。
さらに残念ながら難聴になって、大きな音が苦手な人にとってもノイズキャンセリング機能は重宝する。
ノイズキャンセリング機能を使うと、自分の周りの騒音を消してくれる。
そうすることで、音楽のボリュームも大音量にする必要がないわけだ。
いつもよりも小さなボリュームですむことになる。
一番人気のノイズキャンセリングイヤホンはこちら
イヤホンよりもヘッドホンがいい
イヤホンは耳栓のように耳の穴を塞ぐので、ヘッドホンよりも消音性が高い。
イヤーピースの素材などではかなり外部の音を消音することができる。
しかしその一方で、イヤホンはヘッドホンよりも耳の鼓膜に近い距離で音を発生させる。
その分、耳に対して大きな負担を掛けるのだ。
対して、ヘッドホンは耳全体を包み込むようにして、鼓膜から離れたところから音が鳴る。
耳への負担はヘッドホンの方がイヤホンよりも軽いのだ。
まとめ イヤホン難聴 ヘッドホン難聴にならないために
生活を豊かにするために音を楽しむ。
音楽だけではなく、今や様々な音のコンテンツが提供されている。
目と共に大切な耳。耳のトラブル、難聴は生活の質を著しく低下させる。
普段のちょっとした配慮で避けられる、遅らせられるのが難聴。
それは決して大した話ではなく、この記事で紹介している程度の知識を知っているかどうかなのだ。
突発性難聴になってしまった場合は、速やかに医療機関へ向かおう。
肩こりなどの、簡単に治りやすいものではないからだ。
痛みならすぐに解消したいものの、耳鳴り程度と思うと、つい我慢してしまう。
早く、そしてきちんと診てもらおう。
私のケースだが、暫く放置してから、医療機関へ行った。
少し症状が回復していて、対応する治療はステロイド薬か、ビタミン薬かの選択。
後者を選んだが、全くというほど症状の改善はなし。。
そのまま放置してしまった。
それから何十年と大きな音を聞くと雑音のようなものが聞える状態。
やっぱりおかしいと医療機関に行くも、聴力検査では異常がないため、正常との診断になる。明らかに異常があるのに。
そして、この異常と付き合い、何十年経ったのか、ようやくもとの状態に戻ってきた。
こんな風にならないためにも、速やかに医療機関へ行くこと、納得のいく治療を受けること、別の医療機関での精密な検査と治療を求めることが不自由な生活から開放されるための道だ。
末永く音を楽しむために、あなたの耳を休ませてあげよう。
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